プロパノータとは

リサイクル楽器

その名が示す通り、廃棄処分待ちとなった中古のプロパンガスのボンベを再加工することで楽器として生まれ変わります。

プロパノータとは「プロパンボンベ+ノータ(スペイン語で音の意味)」を組み合わせた造語です。

「これはあなたが考えたオリジナルの楽器?」と、よく質問されますが、いくつかのものはオリジナルと言えても、根本的に私自身が考案した楽器ではありません。

2007年前後に世界各地で同時多発的に作り始める人が現れたと思います。
私も単にそのうちの一人で、この世に登場してまだ数年というまったく歴史のない楽器です。
そして各製作者がそれぞれに名前を付けています。

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始まりは・・・

「どこの楽器?」とよく聞かれますが、そのような登場の経緯からも、いったい「いつ、誰が」というのは私にもわかりません。

切込み板をたたくドラムの総称を「スリット・ドラム」または「タン・ドラム」などと呼びますが、木製のスリット・ドラムは古来より世界の各地に存在していましたが、金属製のものはどこにもなかったのですね。
2000年前後にスイスの二人組が発明し、世界的に広まった「ハング・ドラム」、またはカリブ海に浮かぶ島国トリニダード・トバコ発祥のドラム缶楽器「スティールパン」からヒントを得て作られたのではないかとも推測しますが、定かではありません。

もっとも鉄を素材にした造形作家の方の中には、もう何年も前から「オブジェ」として同様のものを制作されたりもしています。

鉄加工・・・

WEB上で偶然見かけた円盤楽器。見たこともなければ、聞いたこともない澄んだ音色。

見た瞬間 『欲しい』 と思いましたが、次の瞬間には「これもボンベで作れるんじゃ。。。」
それがすべての始まりでした。

当時の私は花火会社で花火職人として働く合間に、不要となった花火の筒を利用して自作の打楽器を作ったりしていました。
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また自作打楽器のひとつとして、ツボ楽器の「ウドゥ・ドラム」を作れないかとアレコレ挑戦もしていました。
なかなか上手くいかず失敗続きでしたが、最終的にガスボンベの加工へと行き着きました。

現在、花火の打ち上げは安全面での配慮などにより、遠距離からの電気点火が主流ですが、筒の付近で火を起こし、真っ赤になるまで焼いた鉄の塊を筒に落として打ち上げる日本独自の打ち上げ方法「早打ち」というやり方もまだ残っています。
その火を起こす際に、ガスボンベや炭などが使われるので、花火会社には案外ガスボンベが多数あるのですね。

そんな感じで以前ガスボンベで「ウドゥ・ドラム」を作っていただいた鉄加工のプロ、飯塚先生のところに駆け込んだのでありました。

しかし飯塚先生も、鉄加工は専門でも音の作り方などは分からないことだらけ。。
しばらくは二人で頭を悩ませながらの試行錯誤が続きました。
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自立を目指して

初めて目にしてからの数年間は、会社勤めの傍らにコツコツと続けてきました。
鉄加工は全くの初めてでしたので、溶接なんかもまともに出来るようになるまで一年間ぐらいかかりました。
210.JPG初めはアパートの一室で

そして40歳になったのをきっかけに11年務めた花火会社を辞め、思い切ってこの楽器に専念することを決意。
「2年間は一つも売れなくてもよい」との覚悟の元、研究、試作を繰り返す日々が始まりました。

99%の人が見たこともない楽器で、知名度もまったくありません。
わずかながらに広まっているという実感はあるものの、まだまだ厳しい状況が続きますが、今後の展開への希望を失わずに、作り続ける日々です。

ガスがなくなったからと言っていきなりボンベを加工すると爆発の恐れがあるそうです。プロパノータでは専門の処理を施していただいたボンベを使用しています。